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東京地方裁判所 昭和45年(借チ)2093号 決定

〔主文〕申立人が相手方に対し金五七六、〇〇〇円を支払うことを条件に、別紙目録(三)記載の土地賃借権を東京都墨田区立花四丁目八番一二号前田康雄に譲渡することを許可し、本件賃貸借の賃料を右金員支払の日の翌月分から3.3平方米当り金七五円に変更する。

〔理由〕一 本件申立の要旨

(一) 申立人は、昭和二四年九月七日相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という。)を期間の定めなく賃借し、本件賃貸借の内容は、同目録(三)記載のとおりである。

(二) 申立人は、本件土地のうえに、同目録(二)記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有している。

(三) 申立人は、本件建物および本件土地賃借権を右建物の賃借人である主文掲記の前田康雄に譲渡したいが、相手方の承諾が得られないので、右承諾に代わる許可の裁判を求める。

二 当裁判所の判断

(一) 本件で取調べた資料によれば、前記一の(一)(二)の事実および本件土地賃借権を主文掲記の前田康雄に譲渡しても相手方に不利となる虞れはないことを認めることができる。相手方は、本件賃借権は、すでに前田康雄に譲渡された旨主張し、前記資料によれば、本件建物につき、杉山力のため所有権移転請求権の仮登記が存し、かつ、本件建物には、前田康雄が居住している事実を認めうるが、右事実をこえて申立人が、本件建物を前田康雄に譲渡したと認めるに足る資料はない。

更に、相手方は、申立人が、相手方の姪であるからこそ本件土地を賃貸したので、これを第三者に譲渡するのは相当でない旨主張するが、借地権設定時における相手方の意思が叙上のようなものであつたとしても、右事実のみをもつて、本件譲渡が相当でないということはできず、他に本件譲渡を不当とする事由はない。

そこで、本件譲渡は、後記の下にこれを許可するのが相当である。

(二) 附随の処分につき検討する。

鑑定委員会は、本件土地の更地価格を3.3平方米当り金三〇万円、総額九〇〇万円、借地権価格をその八〇%としたうえ、申立人に給付金として、借地権価格の八%にあたる金五七六、〇〇〇円を支払わせ、賃料を3.3平方米当り一か月金五〇円に増額するのを相当としている。

当裁判所も、申立人に支払わせるべき給付金については、賃借権設定時に金一五、〇〇〇円の権利金が支払われている事をも考慮に加え、鑑定委員会の意見を相当と認める。

賃料については、本件土地賃貸借の経緯および東京都内における実際支払賃料が底地価格に対し、一ないし二%の範囲内にあるといわれていること、近時における公租公課の上昇ならびに譲受人が本件土地を一部営業用として使用することも考慮に加え、賃料を年額底地価格の1.5%にあたる3.3平方米当り月額金七五円と定める。右賃料は、従前賃料に比し、やや高率な値上げとなるが、従前賃料が近親者間におけるもので、かかる関係にない第三者への譲渡に際し、多少値上げ率が高率になることはやむをえない。 (筧康生)

目録

(一) (土地)

東京都墨田区立花四丁目四四番地

宅地 268.41平方米(81.21坪)

のうち、99.17平方米(三〇坪)

別紙図面中の斜線部分

(二) (建物)

同所同番地

家屋番号 三七四番四

木造板葺平屋建(現況瓦葺)

居宅(現況店舗兼居宅)

33.14平方米(七坪)(現況52.06平方米)

(三) (賃貸借の内容)

1 目的土地 前記(一)記載の土地

2 賃貸人 相手方

3 賃借人 申立人

4 目的 非堅固建物所有

5 期間 昭和二四年九月七日から期間の定めなし

6 現賃料 一か月金六二〇円

図面<略>

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